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下弦之月 別館。ご来訪ありがとうございます。
こちゅうの夏
- Posted at 2014.02.11
- l恋愛(一般)

内容:戻らない夏の短編ADV
使用ツール:LiveMaker / 1周プレイ時間:約30分~1時間 / ED数:6種類
※こちらは12推(12歳以上推奨)作品です。
【あらすじ&登場人物】
それは、こちゅうの夏のことでした――
奨学金を受けながら高校に通う主人公・樋川りこ(名前変更可)は、
訳あって2人の男性と同居している。
1人は年中着物姿で落ち着いた大人の作家先生。
1人は常に何かに苛ついていて、学校に通わずバイトしている同い年のフリーター。
友人の言葉をきっかけに、主人公は彼らを初めて恋愛対象として意識してみるのだが…。
樋川りこ(名前変更可) :主人公。ほとんど怒る事のないおとなしい性格の女子高生。
小比留巻 昴 :同居人の1人。パナマ帽に和服がトレードマークの作家。年齢は20代。
ヒロヤ :同居人の1人。主人公と同い年だが、学校には通っていない。怒りっぽい性格。
【感想】

★★★★★ :心満たされる度
★★★★☆ :心痛い度
すごい…、すごい作品でした…。
何が、と言われると上手く言葉に出来ず、何とももどかしいのですが。でもすごい!!><
長くはないシナリオの中に珠玉の言葉がぎゅぎゅっと詰まっていて、
心の奥の大切な場所にずっとそっとしまっておきたくなるような…そんな物語です。
かなり“重い”内容ではあるのですが、これを“暗い”とは決して表現したくない。
自分ではどうしようもないほど気分が沈んで浮き上がれなくなってしまった時にこそ
この作品を読み返し、彼らに「大丈夫だよ」と言ってもらいたい気持ちになりますね。
「やや乙女向け」という事でしたが、女性主人公に男性キャラ2人(しかも同居設定)、
これはどう考えても普通なら乙女ゲーでしょう!――と思いながらプレイしたんですよ。
でもですね…、真相EDまで見てやっと理解しました。
確かに「乙女ゲー」というカテゴリで括るにはちょっと違うかもしれないな、と。
恋愛ものとするにもまた違和感はあるのですが…う~ん、ネタバレせずに語るのは難しいなぁ。
でも昴とヒロヤ、それぞれのヒロインに対する切なる思いというものは
読んでいて本当に胸にズシンと来るものがありまして。ラストは涙無しには読めませんでした…!
真相ルート以外では主役3人の関係性は明確に語られないし、
「え?え?これどうなってんの??」と戸惑うシーンも多々あるかと思います。
が、それらは全て計算され尽くした伏線。最後に実に見事に回収されていきます。
あの繊細にして怒濤の如く盛り上がるクライマックスは、もう圧巻と言う他ありません。
プレイヤーを話に引き込んで離さない、素晴らしきストーリーテラー!
バックに流れる歌がこれまた情景にピッタリで…ものすごい相乗効果なんですよ。
涙腺が決壊してホント困った…!!
選択肢は少なめで、総当たりでコンプ出来る程度の難易度です。
真相EDにはルート制限がかかっていると思われるので、まずは個別EDを狙いつつ
ところどころで「??」となりながら真相を読み解いていって下さい。
恐怖・苦悩・悲哀などのネガティブな感情をプレイヤーに植えつけながらも、
最後はあたたかな希望の光を残してくれる――とてもとても素敵な作品です。
主人公に幸あれ。

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